この家 その店 あの日の夕餉 1景
駅ナカで へその旨味を 味わう宵
宮城の南 端っこにある里山の
冬の風と人々が
じっくりじっくり作り上げた 美味しあの味で一献
ふらりと寄った仙台駅の食事処「松島」にて食む「へそ大根」。
丸森の筆甫で作られた干し大根だ。
輪切りの大根を茹でてから、真ん中を串に刺して並べて干すので、干し上がった真ん中に穴が開く。
この穴を、おへそになぞらえたから「へそ大根」と名がついた。
乾いて小さくなったものが、再び炊かれて出来るのが、出汁をたっぷり吸い、ふっくらと丸く、柔らかく甘く、美味い美味い大根の煮物。
これを、宮城の北側の松山町の酒と頂く。
冷の「一ノ蔵」の御銚子を、蛇の目の猪口に注いで一口、香り良し。
宮城の松山町は、江戸初期に、茂庭周防良元が領地としたところ。
やがて、江戸後期には酒造が盛んになったといわれている。
昭和48年に、老舗の4つの蔵元が合併して「一の蔵酒造」となり、松山では現在、その協力を得て「酒ミュージアム」も運営され、酒の歴史を伝承している。
この日の晩酌、へそ大根と一ノ蔵は、寒さをちょいと楽しみに変えた。
宮城の風をあびながら、時をかけて作り続けてきた沁みる味だ。
*2014年12月の作成文
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